今更ながら峰岸徹さんのこと
峰岸さんとはずいぶん沢山の仕事をした。
初めての仕事は、今はなき「火曜サスペンス劇場」の「狙われた美人キャスター」という回。
若き日の沢田亜矢子さんが主演で、峰岸さんの役はその不実な恋人。
開始早々江波杏子さんに惨殺されるという役で、岩崎宏美さんが歌う「聖母たちのララバイ」が主題歌で流れていたから、正真正銘火サスの初期のころ、私自身まだ三十そこそこの生意気盛りだった時代の話だ。
次に組んだのがいわゆるVシネマ、今をときめく浅田次郎さんの原作で「プリズンホテル」。
峰岸さんの役は、人呼んで“プリズンホテル”の支配人。元チョー一流ホテルの敏腕マネージャーの、誇りある落魄の姿を独特のクサイ演技で熱演してくれた。
人知れず作られた低予算のVシネで、その後テレビで制作されたドラマの陰に隠れて、歴史に埋もれてしまった感はあるが、個人的にはそのテレビドラマをはるかに凌駕する佳作だったと自負している。
三番目にやった仕事が、東海テレビの昼帯「愛のことば」。
下ネタの国から下ネタを広めに来たような無頼派カメラマン。
軽薄にしてその実は人生の達人という難しい役回りの男を、これまた独特のクサイ演技で、全65話中の大半の回で忘れられない存在感をにじませてくれた。
「プリズンホテル」ロケ現場の長野県某所で、夜を徹して酒盛りをして盛り上がった、あの人懐っこい笑顔を思い出す。合掌……。
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